私は自身で形のコントロールを行わず何かに形取らせるという発想の転換を図った。そして美しいかたちと不思議な柔構造をもった有機体「海綿」に土を染み込ませる事で自然の持つ力と私の求める造形表現物として成立させることにたどり着いた。焼成した時点でもとあった海綿は燃え尽き跡形も無くなってしまうが、その骨格に染み込んだ土は作品となって存在を続ける。 私は私が計画し設計した形や色彩が設計通り実現する事よりも、自然が持つ力を借りながら私という人間が可能にする造形表現を実現したい。それはコンピューターで設計されたものよりもはるかに意外性に富んだ多様さを示すものになるはずである。